周辺コミュニティまでも包みこむ、やさしい灯。
目をひく、明るく生まれ変わったファサードの佇まい。
周辺環境まで安心と安全をもたらす、やさしさ光るアパートメント。
資産性や空室率だけでなく、周辺環境の悪化も懸念。
リフォーム前はひどい状況でした。H様が所有するアパートは老朽化が進み、空き室も増え、防犯上の不安も抱えていました。このまま何もしないでいると資産価値も下がることが予想され危機感をお持ちでした。
実際に拝見して目をひいたのがエントランス付近の荒れた状態。郵便受けの周りにはチラシなどが散らばっていました。扉がないために誰もが入れます。セキュリティ面での不安も感じました。
ゴミ置き場も道路に面して囲っているだけなので、通行人がついでにポイ捨てしてしまうあり様。夜になると真っ暗で怖さを覚えます。
H様とは、主に空室率の低下策やセキュリティ対策についてのお考えやご苦労を伺いました。また、こちらからはこれまで手がけたリフォーム事例を見せながらデザインなどについて説明、アイデアやコスト面でのお話を共有していきました。
カウンセリングを通して見えた課題は、建物のメンテナンスはもちろんのこと、建物がもたらす悪影響です。放置しておくと周辺までも荒廃する恐れがあると感じました。
建物をリフォームすれば、資産性の向上や入居者募集の際のアドバンテージが期待できます。しかし、それ以上にコミュニティの一員として周りの安全性や快適性まで考慮する必要があると考えました。
これを解決するにはデザインだけでなく、大幅な改修が必要と判断しました。建物をきれいに仕上げると同時に、入居者のモラル向上や周辺環境への影響までをふまえたアプローチです。
- 建物も環境も悪い状態、老朽化以上に大きな課題があると認識した。
- 周辺環境への影響までも配慮したリフォームが必要と判断。
- 課題解決のために、デザインと改修によるアプローチで臨むことに。
デザインを変えることで、入居者のマインドも変える。
プランの基本方針は、「夜の暗さの解消」と「周辺環境の配慮」。具体的には建物の顔といえるファサードのデザインです。上部が白く、暗い玄関周りを明るく清潔な雰囲気に変えたいと思いました。
そこで木目調のアルミ製ルーバーを建物上部に取り付けることにしました。視覚的にもアパートのシンボルとなり、柔らかい雰囲気が生まれます。そこに木の質感と色合いによる温かみも加わります。
同じデザインのルーバーを、ゴミ置き場にも付けました。ファサードとのコーディネートもありますが、目隠しにもなり、清潔感とともに通行人のポイ捨て防止にもなります。
荒れていたエントランスには扉をつけました。また郵便受けは中から外に出しました。これだけで外部からの不要な侵入を押さえることができます。
こうして建物を明るく清潔にすることで、入居者も常にきれいにすることを心がけるようになる。そんな意識の変容も期待してプランニングを行いました。
- 基本方針は、「夜の暗さの解消」と「周辺環境の配慮」。
- 木目のアルミ製ルーバーを付けて、ファサードにやさしさと温もりを演出。
- 建物を明るく清潔にして、きれいに使うというマインドを入居者にもたらしたい。
家族の関わりを深める黒板のような壁。
ルーバーでがらりとファサードのイメージを変えましたが、外壁のレンガ調タイルは既存のものを活かしています。白で塗装して、エントランスにダウンライトを設置。壁に光を走らせることで色をつけることができます。
夜間はエントランス周辺が暖かい光に照らされ、壁は薄い茶色に彩られます。また、明るくなったので通行人も安心して通れることと思います。
駐車場もそれまでのコンクリートやアスファルトの継ぎはぎ状態から、ピンコロ石を敷きました。きれいな配列になるよう注意深く施工しました。
施工は外装以外にも屋上の防水、共用部の床などにも行いましたが、アパートという性格上、入居者への告知や協力へのご理解など配慮は苦労しました。それぞれライフスタイルや家族構成が違うので時間調整は大変でしたが、担当者と管理人の二人三脚でなるべく入居者にご負担をかけないよう努めました。
今回のような大規模な改修とデザイン性を融合したリフォームは、ハード、ソフト両面のノウハウがないと難しいものですが、そうしたノウハウをチームが備えていたことが上手くできた大きな要因だと思っています。
- 外装も一新したかったが、既存のタイルと照明を活かして暖かい雰囲気を演出した。
- 施工をスムーズ行うため、入居者への告知など管理人と二人三脚で行った。
- 大規模改修とデザインの融合が成功したのはハードソフト両面のノウハウがあったから。